1.モチベーション
10年前と比べるとIT業界もかなりパワーバランスが変わってきたことと、新規に参入してくる人たちが業界のことを分からないと不便だろうと思ったので現時点での業界を俯瞰しておきたいと思って筆を執りました。
2.ビジネスモデルで切ってみる
IT業界を分類するのに一番簡単だろうと思うのが、ビジネスモデルで分けることだと思います。各モデルのメリット・デメリットを含めてフラットな視点で解説します!
2-1.サービスやソリューションを販売するモデル
ソフトウェア(専用ハードウェアが存在する場合もアリ)を開発して、アプリケーションやライブラリ・APIなどの形式でパッケージングして販売するモデルです。
自社で主導権を握りながらソフトウェアを開発するモデルであるため、理屈上は作りたいモノを自社のスケジュールで作ることが可能です。実際には顧客から強い要望が出ることが多いので、ニーズに合わせた機能を納期付きで開発することも多々あります。
国内では多くの企業がクローズドソースのソフトウェアを開発していますが、海外だとオープンソースのソフトウェアを有償サポートで提供したり、一部機能だけクローズドソースとして有償提供するなどのモデルも存在します。
長期的にソフトウェアの育成ゲームをしたい人には向いていると思いますが、すぐ飽きちゃう人には向いてないかもしれません。
2-2.クライアントからの依頼をベースに仕事をするモデル
お客さんからの依頼ベースでお仕事をしていくスタイルですのでイメージしやすいかと思います。
クライアントワークなので、パワーバランスが非常に重要になってきます。高度な専門性を持った企業では仕事が途切れなかったり、受注額が高額になったりと比較的優位に交渉を進めることが可能です。
コモディティな企業では、相見積もりなどが発生して価格競争に巻き込まれ、低額・短納期など厳しい条件で働くことになるケースもあります。昨今では海外人材との価格競争も発生していて何の優位性も持たない企業には非常に厳しいモデルです。
ただし、売上に対するシステム保守料が多くを占めている企業では、安定収入があるというメリットもあるので優良企業が潜んでいる場合があります。
また、様々な業界からの依頼があるため、経験値を幅広く、最速で得られることが最大の旨味になるモデルだと思います。
2-3.エンジニア人材自体を提供・マッチングするモデル
人材紹介や人材派遣、クラウドソーシングなどがここに当たります。
SNS上では批判の的になることも多いですが、 提供企業としては人の労働力が商品であり、クライアントはスポットで労働力を補給できるので、非常に需要のあるビジネスモデルです。
数か月単位で契約を更新していくケースが多いため、個人では経験できないレベルで様々な現場を知ることも、相互に望めば特定の現場で数年単位で働くことも可能です。だだし、案件ガチャなどという言葉もある通り、ケースバイケースと言うしかないのが現状です。
お客さんをガチャとか言うなよと個人的には思ってますが、パートナーというより(悪い意味での)下請けという扱いを受けているなんて話も耳にするので、鬱憤がたまるのも無理はないなと思っています。
ちなみに僕の前職では、パートナー企業さんから結構な人数に来てもらってましたが、困ってることは無いか定期的に聞いて回るなど、むしろ取引先として超丁寧に接してました。(当たり前のことですが)
信用できる仲介企業を経由することで直契約のリスクを回避できたり、個人では取り合ってもらえない企業と契約できるというメリットもあるが、当然報酬の中抜きが発生するのでリスク志向性によって好き嫌いが非常に分かれるモデルです。
3.技術領域で切ってみる
ITと一口に言っても多様なデバイスの様々なレイヤーがあり、各領域ごとに求められる技術が大きく異なります。
代表的な領域は下記のリストを参照ください。
- デバイス(サーバ/クライアント/NW機器など含む)
- ネットワーク
- 汎用OS(Widows/MacOS/Linux/Android)
- 組み込み(RTOS/ファームウェア開発)
- ミドルウェア
- デスクトップアプリ(Widows/MacOS/Linux)
- モバイルアプリ(Android/iOS)
- ウェアラブルアプリ(AppleWatch等)
- Webアプリ(オンプレミス/クラウド等)
一般的に低レイヤーよりもアプリケーションレイヤーなどの方が多様性があり、企業数も多いため大多数のエンジニアはアプリレイヤーで働いています。なのでSNSで多数派の意見を聞くとアプリレイヤーに偏った意見であることが多く、情報収集には注意が必要です。
4.働き方(職種)で切ってみる
IT業界における職種のほんの一例を取り出しただけでもこれだけ種類があり、その内容は大きく異なります。
- コンサルティング
- 研究開発
- 技術調査
- 上流設計
- 開発
- 品質保証
- 運用監視
- マニュアル作成
- カスタマーサポート
同じプロダクトを担当していても全く別の働き方、業務内容であることはザラです。どのような働き方をしたいのか、様々な職種を知ったうえで判断すると良いのかなと思います。
5.業種で切ってみる
ITは各業界との親和性が高いので、どの業界で働くのかも重要です。
- 純IT業界(ITのためのIT技術を提供)
- toB向け(社内業務などのシステム化)
- 金融
- 物流
- 広告
- メディア
- エンタメ(AR/VR含む)
などなど、全業界がITに飲み込まれていくので、広い視点で物事を判断していく必要があります。
6.まとめ
ここまで様々な切り口でIT業界を見てきましたが、それぞれの面で見るだけではなく、最終的にはご自身の脳内で多次元的に理解する必要があります。すべてを理解することはできないので、興味のある部分から解像度を上げていき、学習やキャリアなどのミスマッチが起きないことを願っています。
この記事が誰かのお役に立てば幸いです!
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